1. 蓮舫議員の声の「張り」:あのトーンは「ひざまずいて私の靴をお舐め!」の声だ。ああいう声の人間に問い詰められると、普通の人間はそれだけで心が折れる。新入社員の3割ぐらいは、たぶん泣く。
2. 対話の間:「あります」の語尾がまだ発声し終わらないうちに、「稼働率は?」と、次の質問が畳みかけられている。このおっかぶせるタイミングでの問いかけは、質問者が回答者の返答を聴いていないことを意味している。つまり、両者のやりとりは「対話」であるよりは「尋問」であり、それ以前にいじめに近いということだ。あるいは、この事業仕分けというイベントの主旨は一種の公開処刑であるのかもしれない。
3. 発言後の蓮舫議員の表情:関西の人たちが言う、いわゆる「どや顔」だと思う。「どうだ。恐れ入ったか?」というキメの表情。たとえば、印籠を出す時の格さんの表情。遠山金四郎の桜吹雪一件落着顔。土下座で受け止めるほかに対応のしようがない。歌舞伎の大見得にも通じる一種の勝利宣言なのだと思う。
4. 仕草:蓮舫議員は、ボディーアクションの大きい語り手でもある。左右対称に動くことの多い両手と、左右に回転する首は、着ぐるみの中の役者の演技に似ている。「猿の惑星」のコーネリアスの会話法がまさにそれだった。手話というより体話。言葉を後押しする肉体言語。これらのアクションは、議員の言葉に言語化不能なニュアンスを付加している。
5. 歯:ツブの揃った過剰に白い歯並び。差し歯であろうか。谷崎潤一郎が「陰翳礼賛」の中で「便所のタイルみたいな」と形容した、一点のカゲリもないアメリカンビューティーのこれ見よがしの歯。口ごもることを嫌い、言いよどむことを恥辱と考える人々による、正面からの直言。その舌鋒を支える城壁としての前歯。
"